帰港


帰港

さー、いよいよひと段落となる帰港、もしくは寄港。マリーナが見えてきたあたりで海が平穏であればMAXスロットルにします。これは、エンジンにクセをつけさせないため。ズーッと巡行速度で走っていたのでその日のエンジンアワーの5%を回すと良いとエンジン屋さんに言われています。ピストンの内壁にクセがつかないようにという意味があります。一時間で30秒。その間、エンジン温度が上がらないか、変な振動がないかを注意してください。場合によってはクルーをエンジンルームに張り付かせる場合もあるくらいです。港にはいる前、maxからスピードを巡行に戻したあたりでクルーと事前打ち合わせ。寄港地など勝手がわからない場合は現場を見て判断となりますが、クルーがフェンダーやもやいを用意する時間も考慮してください。狭い港に入ってしまって、クルーの準備を待つ間その場待機となると、出入りの船などもありリスクが増えるので、港の外の平穏なところで待ちます。

 

そして、港の外でゴーアスターン、後進をテストでかけてみてください。狭い港の中でドライブがもし繋がらなかったら大変なので入港前にはチョコっといれてテストしてください。さらに、デッドスローで直進している時に、ステアリングがニュートラルポジションにあって、船がまっすぐ進んでいるか確認します。もし、ラダーに角度がついていると後進や前進でのクラッチワークをしても船の挙動が違ってくるからです。僕はいったんステアリングがニュートラルになったのを確認すると、あとはクラッチワークだけで船を操りステアリングは触りません。

我々のFerretti720は、桟橋がコの字になったワンバースワンシップのところにスターン付をしますので、それをシミュレーションして書きますね。まずは風がどっちから吹いているのかが重要です。真横から強く吹く風でも行き足を利用して止めます。風がない時には素直に真っ正面からいれます。その際、クルーが取るもやいの順番は、まず船の一番弱い後ろを守るために、後ろ向きのスプリングからとってもらいます。これさえ繋いでしまえばあとはクラッチワークと留めたスプリングをテコに船がつけられます。スラスターはいざって時まで使いません。バウもしくはスターンをつなげやすくするために使うこともありますが。それと、桟橋に船がこすらないようにするためにも使う程度かな。でも風さえなければほとんどクラッチワークでなんとかなります。

ところが風がある時、これはもう全部使います。まずは風下に角度をつけて船の位置どりをします。そこからターンを描くように行き足を使って風上側に寄せて止めます。その時がワンチャンス!クルーの腕の見せ所です。パッともやいを決められるか、それを操船でアシストする感じ。決められなければ風下側に船は流れて行くので、臨機応変にもやいを止めてもらうことになります。

ホームポートではない不慣れな場所に止める時には、まず現場を実際に見て、風を読み、クルーと手順を念入りに打ち合わせます。フェンダーの位置関係、どのように寄せて、何処でクルーの誰か一人が桟橋に渡り、風上のもやいから繋いでもらうよう指示します。ヘルムからもフェンダーの位置や高さが大丈夫か見てください。寄港地では、船側からもやいを調整できるように、桟橋にアイを入れてもらい、あとは船のウインチなども併用して桟橋に詰めます。風の強い時はそんなこと言っておられなくて、とにかく風上を決めてってことになりますが。つけた後、スプリングが適正か、船の動向、桟橋におりやすい位置か、ギャングウエイやラットもしくはステップが必要か、それらを総合的に判断して船長の指示でもやいを固めて行きます。さらに、ロープが擦れないか、スレどめを入れるべきかを判断しますが、僕はこの時に出港を考えて、桟橋に人が降りなくて済むようにもやいをいって来いにセットしてしまいます。

それからクルー含めて全員で潮を落として拭き上げ、ゲストのケアなどに回っています。

 


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